April 22, 2012

年齢を3で割る。


年齢を重ねるごとに何をなすべきか、どういう境地で過ごすべきかいうことを語る格言めいたものは昔からたくさんあって、よく引き合いに出される論語の「三十而立、四十而不惑、五十而知天命・・・」っていうのもあれば、「男が○○才までにやっておくべきこと」っていう感じのタイトルの本もたくさんあります。

 そんな中、いつどこで誰から聞いたのかは忘れたんですが、ずっと覚えている話がひとつ。「自分の年齢を3で割って、時刻になぞらえる。」というやつです。


 たとえば、私は40才になっちゃったんですが、3で割ると13.3で、これは13時、午後1時を過ぎたところ。午前中の清々しさはなくなったけど、まだ日は高いし、午後からもう一仕事できる時間。人生の午後1時過ぎ。


 18才なら、3で割ると6。午前6時、これから一日が始まるところ。60才なら、3で割ると20。午後8時。まだ残業に励む人もいるかもしれないし、家でほっと息をつく人もいるかなっていう時間。


 243倍が72という平均寿命に近い値になるので、こういう計算ができます。まあ、日本人の場合、平均寿命が男79才、女86才にまで延びているので3ではなく3.5位で割った方がいいのかもしれないですけどね。


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 いろんな生き方をする人がいて当たり前、多様性こそ尊重されるべきだと思うし、そもそも私自身が、2223才で就職して、30才くらいで結婚して35才くらいで家を買って、子どもの教育費がかさみ始めるのが45才くらいで・・・っていう保険屋が作ってくる「ライフプラン」のような生き方からはかなり外れているので、「○○才までに△△をやるべき」みたいな格言は「ふーん」くらいにしか聞こえません。


 でも、人生が有限であることは厳然とした事実です。他の格言を忘れても「3で割る」という話を忘れないのは、この計算が、自分が今、人生のどのあたりにいるのかを直感的に示してくれるからなんでしょうね。

April 07, 2012

予言者とマラウィの大統領と確率の話。


ナイジェリアで人気の予言者(本当は伝道師、説教師なんでしょうが、予言で有名)のT.B.ジョシュアという人が、「60日以内にアフリカの指導者が死ぬ」と予言したのが先々月の2月。誰が死ぬんだろうと話題になり、ワッド・セネガル大統領(85歳。こないだ落選して前大統領になりました)、ムガベ・ジンバブエ大統領(88歳)、キバキ・ケニア大統領(81歳)などの名前が取りざたされました。現職の元首じゃないですが、その死を語ることがほとんどタブーなっているマンデラ元南アフリカ大統領(93歳)、ノーベル平和賞を受賞したツツ司教(81歳)など、他にもアフリカには高齢の指導者が多いです。

そのT.B.ジョシュアが、「死ぬのはムガベ・ジンバブエ大統領ではない」と示唆したのが先週。そして昨日(45日)、マラウィのムタリカ大統領が心臓発作で急死していたのが明らかになりました。享年78歳。これでまたT.B.ジョシュアの人気が上がるのは間違いなしだと思います。

人の死を喜ぶのは趣味じゃないですけど、最近マラウィは旧宗主国英国との対立姿勢を強め、インフレ、燃料不足が激しくなるなど「ジンバブエ化」が進み始めていたので、大統領の死は政策の方向転換をする機会になるかもしれません。

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まあしかし、アフリカには高齢の指導者が大勢いるので、「アフリカの指導者が死ぬ」という予言は的中し易いはずですよ。アフリカ大陸には54カ国あるので、少なくとも国家元首は54人いる。で、元大統領、宗教指導者、ノーベル賞受賞者とか、「指導者」と呼べる人はそれ以上いるわけです。

それで、フェルミ推定よろしく、仮に「指導者」が100人いるとしましょう。そしてアフリカの人々の平均寿命を50才と仮定しましょう。平均寿命50才というのは、無作為抽出した50人を1年間観察していれば1人は死ぬだろう、と言っているのと同じです。「指導者」たちは無作為抽出した人々よりも高い健康管理を受けている可能性が高いとはいえ、他方、高齢の人も多いので、まあ、そのまま50才という値を使ってもそうおかしくはないでしょう。

そうすると、指導者が100人いれば確率的には1年間に2人くらい死ぬのが当たり前、ということです。200人だとすれば3ヶ月に1人。

ということで、T.B.ジョシュアの「60日以内にアフリカの指導者が死ぬ」という予言は確率的に結構的中する可能性の高そうな予言です。

・・・という理屈をこねても、彼の信者たちには聞こえないんでしょうけどね。